【青山繁晴】消費者物価を資源価格を除いた指数で考えるべき
10:45~
お金をじゃぶじゃぶ増やしていた日銀が、量から金利、金利を直接動かしたいと、これタブーですよ。
長期の金利というのは日銀を始め中央銀行は、触れない、コントロールできないというのは、経済記者やってきた人なら知らない人はいないですよ。
ていうか、僕ももう一回見てみたんですけど夕べに、日銀のホームページにまだ書いてありますよ。
長期金利っていうのは、中央銀行がコントロールするんじゃなくて、資本主義経済は生きてるから、先どうなるかはわかる人いないんですよ。
そんなところまで長い手を伸ばして中央銀行が操作しようとすると、本来の自由な活力を経済から奪うから、そういう意味でもタブーだし、できるはずがないと。
ところが今回それやると。
記者会見で当然びっくりした記者の側から質問がいくつも出たわけですが、黒田さんは100パーセントやれるとは言わないけども、しかしかなりやれるんだというね、今までの常識を覆す、そういう趣旨のことをおっしゃった。
日銀の本店に行くと、苦悩して仕事してる人たちが当時からいたんですね。
その人たちの願いっていうのは、「仕事したい」なんです。で、仕事したいということは、金利がないと困るわけです。
金利がないと、上げたり下げたりできないじゃない。
だから金利がゼロになってたりすると、自動車のない運転手さんみたいなもので、仕事がないんです。
本店で中央銀行の誇りを持ってやってる人は、金利があって初めて仕事を楽しめるわけですよね。
したがってアメリカの中央銀行にあたるFRBも、(景気が過熱しているわけでもないのに)金利をなるべく上げたいわけです。
過去の日銀総裁も日銀の立場を重視してて、金利を上げよう上げようとするから、今のアメリカと同じように景気が加熱してないのに過剰に冷やしてしまって、それがデフレのきっかけになっていったという歴史があるわけです。
そのなかで黒田さんはマイナス金利まで踏み込んで、金融機関の収支まで圧迫して、 すごくはっきりいうと、日本のエコノミスト、とくにテレビに出てる人は裏で銀行と繋がっている人が大変多いので 、銀行の収支を悪化させるような日銀総裁は悪者だと(言う)。
(エコノミストは)黒田総裁っていうのはおかしな人で変なことばっか言っているんだといって、それを銀行が支えてくれると。
どちらかというとマスメディアがもてはやす人はやや危ない。
多数派はマイナス金利持ってくるような日銀総裁許せないんですよ。
でね、黒田晴彦って人は日銀の本店のなかでも間違いなく嫌われるわけですよ。
自分たちは優れたレーシングドライバーなのにレーシングカーが全部なくなって、サーキットは自転車しかないと、そういう話ですよ、金利ないんだから。
生き甲斐感じられないということになるわけですよ。
その中でただ日本経済と日本経済の発展、国民生活を考えてやってる。
黒田さん自分が日銀総裁続けたいからやってるってところは、付き合いないからわかりませんけどでもわかる、違いますよ。むしろやめたいと思ってるでしょう。
アジア開発銀行の総裁をなさっててて、日銀であれ、大蔵省・財務省の世界であれ、異端児だったのを、ADBの総裁ってかっこよくみえるけど、(異端は)ばんと外に出すのが日本社会なんで、それを安倍さんが手を伸ばしてあえて反主流の人をもってきた。
その意味は今回の件ではちゃんと現れていると思う。
この長期金利のコントロールまで手を伸ばすというのは、たぶんまったく前例がないんじゃないなと、主要国でも。
それをやるってのはほんと大胆不敵で、成果が出るのか出ないのかっていうのは、ここは公平に言わなきゃいけないけど、黒田さんご自身にもほんとは確信ないと思う。
それを100パーセントとは言わないけどある程度できるんだっていうのは、これは保身の人には言えるわけないでしょ。
時の政権と表裏一対で独立性を失ってると批判が出ても当然なのに、ボロクソに言ってる人もあんがいそれをい言い切れないんですよね。
つまりそこまで大胆な話を安倍総理といちいちすり合わせてやってるかって、それは考えられないですよ。
これは政権側もブルってしまうようなとこまで踏み込んでいるから。
僕なりに黒田さんにご意見あるのは、記事の最後に「黒田総裁は消費者物価の上昇率2パーセントを達成するには、大胆な方針転換が必要だ」と書いてあるんですが、この番組で以前にも申し上げた通り、 消費者物価の見方、指数が世界の主流とは違ってて、(日本は)資源価格を入れちゃうんですよね。
資源価格は思惑で、ものすごい幅で上下するんで、そんなものを消費者物価の中に入れちゃうと、話がわかんなくなるんですよ。
デフレ時代は資源価格を除いた(コアコアの)指数はずっとマイナスが続いていたのが、今はプラスになってるんですよ。
だからこれは日銀の黒田さんが言えないんだったら政権の側からも呼びかけて、消費者物価を例えばアメリカと同じように消費者物価を省く。
そうすると当然、待ってましたとばかりにボロクソに言われますよ、目標達成できないから、測り方自体を変えたんだって。
でもそこを恐れて実態が見えなくなってしまう消費者物価の測り方というのを、そろそろやめなきゃいけない。
実際には物価は2パーセントというのは別にして、マイナスからは脱却してるんで、要するに物がこれからも安くなると思うと人は物を買わないでしょ?
僕が経済記者のときに志したのは、はっきり言えば日経新聞の記者のようにはならないようにしようと。
安全保障でも軍事でも一緒ですがみんな忙しいんですから、専門家ぶるな、誰でもわかる話にするのが記者の仕事であって、それは今国会議員になった僕であっても同じだと思うんですよ。
この虎ノ門ニュースも自分の専門知識をひけらかすためにあるのではないんで。
このペンが今100円で、これが明日95円になると思えば、100円で買いますか?誰も買いませんよね。
逆に明日105円、あさって110円かもしれないと思ったら、今100円のこれを買おうと思う、それだけのことですよ物価っていうのは。
だから、いま2%に達してなくて物価は上がってないんだということをずっとメディアが、昨日の黒田会見に関連してもずっと刷り込むわけですよね。
そうすると日本人は賢いから、それを自分のわかる言葉に置き換えると、「あ、まだ安くなるのかもしれない」。
物価が上がっていないというと。さっき言いました通りほんとは上がってるんだけど。
自分が直接買うものは実際に上がり始めてるのに、上がらないのかと思うから、みんな買わないんで、それが日本経済の足を引っ張っているわけですよ。
この日本経済を悪くするからくりね。
つまり国の借金は1000兆円はるかに超えてて、年金も健康保険も崩壊してるんだと。
そういわれて、じゃあ貯金やめようって人いないでしょ?
普通はそうやって不安を煽られれば物も買わない、前から言ってますけど、日本製のものは壊れないんで、大事なものは日本経済のおかげで持ってる人が多いんで、それが壊れないとなったら新たに買う人はいないんで、そうすると企業はいったい何を売ればいいんですか?
みんなその企業で働いてるんですよね。
働く当てがなくなっていって、余計に物が買えなくなっていく、負のスパイラルに入っていくわけですよね?
それってメディアが作り出してるわけじゃないですか。
その1000兆円も計算の仕方によれば実は100兆円くらいだという話も合って、高橋洋一さんなんかがそうおっしゃってますけど。
日本は100兆円くらい予算があるんだから国がぶっつぶれるような話じゃない。
僕の借金は僕が生きている間に返さないといけないですけど、国の借金は、日本国は死にません。僕は死にますが。
日本国が死ぬのは太陽が膨張して地球を飲み込むときなんで。
少なくとも僕ごときの命を乗り越えて、長い間祖国は続いていく、続いていくならば借金というのはゼロにする必要はない、(それは)自転車操業ではない。
むしろ積極的に借金もして、その時に生きてる国民のために使うと余裕ができて子々孫々のことも考えられるので、教育も充実し、祖国の先行き、自分の死んだあとが天に帰ったあとも祖国が続いていくという安心感で、それが死生観につながっていって、死に対する恐怖や不安とかを乗り越えられる。
だから哲学とか、国家とか、経済とかがつながってるというのが、人間が生きているということなんですよね
黒田さんがやってる試みというのは少なくとも人間の生き方としては評価できるけれども、しかし判断を僕らが誤らないように、物価の測り方が違うということを安倍総理ともできれば話し合ってもらって、国際水準、主流の話にもっていってもらいたい。